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もっとも、ものの分かる玄人もいるようで、この半月ほどは、マイナーな作品のはずなのに巻が不自然に抜けているシリーズがあちこちの棚にあった。
さて、集会のあった次の日も、僕はその店に足を運んだ。
店の中をぐるりと歩いてみたが、もちろん、『透明ロボットクックロビン』はそうそう商品化されるものではない。
仕方なく、行きがけの駄賃に別のDVDを探すと、やはり抜けている巻があった。
ないと思うと余計に見たくなるもので、僕は返却直後の巻が無造作に並べてある棚を漁ることにした。
傍目から見ると実にいやらしい光景であるが、ムキになっている本人はそれに気が付かないものである。
徹底的に調べ上げてもなお見つからないので、仕方なく帰ろうと思っていると、生地の厚いスラックスをはいたダウンジャケット姿の小柄な少女がカウンターに立ったのが目に入った。
長い黒髪にお姫様カット。
凪原あきらだった。
僕は思わずレンタル品の並んだ棚の陰に逃げ込んで、様子をうかがった。
彼女だってDVDくらい借りるだろうが、この店というのは意外だった。
基本的に、最新のものは絶対に置かない(置けないのかもしれないが)変わった店なのだ。
何を借りたのか気になったが、そんなことは普通、客も店員も口にしないものだ。
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