オタクに恋の風吹く

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 かといって、何を話していいのか分からない。  そのまま棒立ちになるしかなかった。  凪原は構わず、話し続ける。 「こういうの好きなんだ。なんていうか……SF?」  ちょっと迷った。  はいと答えればオタクと思われる。  まあ、本当のことなんだけど。  違うと答えたって、話は続きもしなければ、オチもつかない。  左右の足へ微妙にバランスをふらつかせながら、僕はもじもじとその場に立ちすくんだ。  そんな僕をじっと見つめていた凪原は、やがて「またね」と言い残して歩き出した。  小さな声で、どこかで聞いた歌を口ずさみながら。  グラムロックのリズムに乗せた、70年代当時としては特撮はおろか、歌謡曲としても斬新だった曲。  それは、僕が探し求めていた『透明ロボットクックロビン』のオープニングテーマだった。   驚かないぞ バンババン    誰も知らない バンババン   透明なんだぜ ギューン!    大巨人   銀河ボウガン 無敵   真のパワーも 無敵   俺の行く先 この調子   捕まえてみろ ババン   捕まえてみろ ダダン   だけど俺を探さないでくれ
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