蘇る去年の冬の昭和ドリーム

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 1971年の4月から半年間、26話にわたって放送されたのを、TV予告などの特典映像も入れて12時間半にもわたって見ていれば、昼夜も逆転しようというものだろう。  無視を決め込んで二度寝を楽しもうと布団に潜り込むと、再び着信音が鳴り響く。  一晩中、26回聞き続けたオープニングテーマだ。   驚かないぞ バンババン    誰も知らない バンババン  意地でも起きてやるものかと腹這いになり、枕を抱えて布団の中にうずくまるが、着信音はしつこく歌い続ける。   透明なんだぜ ギューン!    大巨人  じっとこらえていたが、とうとう我慢できずに跳ね起きた。   捕まえてみろ ババンバン   捕まえてみろ ダダンダン  挑発的なリフレインに怒っても仕方がない。  だが、夜更かしの後にまどろむ楽しみを冒されては……。  そもそも、僕にメールを送ってくる友人など、数が知れている。  どうせ真坂幸平(まさか こうへい)だ。  県外の大学に行って、知り合った女の子と自撮りした写真を週末のたびに送ってくるヤサ男。  その手のメールだろうと思って、眠い目をこすりこすり開けてみる。 (久しぶり、元気?)  先週もメール送ってきただろと思ったが、その物言いに引っかかるものを感じた。  はっと目が覚めて、着信の時はスルーした名前を確かめた。 (サキ)  その瞬間、忘れていた3年前の出来事が脳裏に蘇った。     
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