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美少女のディープなオタク談義
そのすぐ翌日の放課後、凪原あきらは校門を出ようとする僕を待ち構えていたかのように追いすがってきた。
真坂がバイトに行ってしまうのを見送った直後のことだ。
「倶楽部七拾年」の集会がない限り、僕はまず行きつけのDVD店に直行するのが日課だったが、予想外の同行者ができたのには面食らった。
そもそも、女子と一緒に帰った経験がない。
中学まではずっと一人だったし、高校に入ってからもせいぜい真坂と「倶楽部七拾年」の集会に行くくらいだ。
だが、逃げる理由もなかった。
子どもの頃から女子と関わることのなかった僕から見ても、凪原は魅力的だった。
これが教室の中だったら、きっと大事件になっていただろう。
そのくらい、凪原と僕は月とスッポンと提灯に釣り鐘というか、とにかく次元的に不釣り合いだった。
ただし、下校中の帰宅部の群れの中では、そう目立つことでもない。
問題は、僕のリアクションだった。
生まれて始めて女子から接近されて、どうしたらいいのか分からない。
何の用かという一言さえ、口からは出てこなかった。
チェックのマフラーを口元まで寄せた凪原の顔をまっすぐに見られなくて、つい目をそらす。
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