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頭にクエスチョンマークを付けながら見上げた三浦くんの顔は、なんとなく笑いを我慢しているようにも見える。
「ちょっ、もしかして……」
気づいた時には遅かった。
「ははっ、高野は単純だな。今日は監督がいないから、みんな第二グラウンドに集まってんだよ」
堪えきれず声を出して笑ってから、三浦くんが真相をバラしていく。
「じゃあ、さっきの竹内先生が私に用事があるって話は……」
「用事なら俺が聞いたし」
「えっ、だったら……」
「あー、冗談つーか。教室の前を通りかかった時、開いているドアから高野が窓の外をぼーっと眺めてるのを見て」
少し私を焦らそうとしたらしい。三浦くんが「おかげでいい運動になっただろ?」と言って、また目を細めた。
「いい運動とか、ちょっともうっ!」
優しいはずの三浦くんは、時々こうして私をからかうのだ。
───究極に楽しそうな顔で。
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