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「もうっ、私で遊ばないでよ、三浦くんっ」
少し顔を赤くして怒って見せたけれど、こうして貴重な時間を割いてまで彼が私をからかうのは、少なくとも私に対して悪い印象があるわけじゃないと思いたい。
……それはつまり、今はそれなりにサッカー部のキャプテンとマネージャーとして、いい関係にあるわけで。もしも私が三浦くんに、この想いを告白したならば、こんなナチュラルな関係も壊れてしまうかもしれないということだ。
───これが、彼に告白できない、一つ目の理由。
「ん、もしかして本気で怒ってんの?」
「別に……」
「そうだよなぁ。高野が本気で腹立ててんの見たことないし」
三浦くんが、無邪気な表情を私へ向ける。
その顔に、チクリと胸に何かが刺さるのを感じている私のことを知ってか知らずか。
「今度は笑わせる作戦にしようか」と言って、三浦くんは弾んだ声を響かせながら、ドアを閉めた。
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