ホントはね・・・

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「とりあえず急ごうぜ」 「あ、うん」 サッカー部の顧問の竹内先生は、とにかく厳しいことで有名だ。 たとえマネージャーのミスでも、最後はキャプテンの三浦くんまでが注意されてしまうかもしれない。 それだけは避けたくて、私は思い切り部室まで息を弾ませ、肩下まであるストレートの髪をなびかせながら三浦くんの隣を走った。 「はっ、はっ」 彼に迷惑をかけたら、マネージャーになった意味がなくなってしまう。 不純な動機だと分かっていても、三浦くんがいたからサッカー部のマネージャーになったのに。 「はっ、はっ……」 身長が178センチはあるだろう三浦くんは、いかにもサッカー少年っぽい筋肉の付き方をしていて。普段からグラウンドを走り慣れているせいか、息切れもせず鼻筋の通った端正な横顔を、ほんの少し斜め後ろから私に見せている。 「……はっ、三浦くんっ、竹内先生はっ、来てそうっ?」
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