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「いや、まだみたいだな。監督が来てたら、グラウンドに誰かいるだろ」
やっとの思いで喉の奥から出した私の言葉に、涼しい声で答えた三浦くんは、いつもこうして一緒に部室へ行く時、私の足の速さにわざと合わせてくれているのを知っている。
そんな、さり気ない優しさは、あの時と同じだ。
中学生の時に、彼と校庭でぶつかった時と。
だから私は、やっぱり三浦くんが好きだ。
この気持ちは変わらない。ずっと、ずっと。
────それなのに。
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