メッセージ

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メッセージ

それは、一瞬の出来事だった。 いつもは歩いて駅まで行くのに、その日は少し寝坊して自転車で家を出た。 通いなれた駅までの道。 そこは事故の多い交差点だと知っていたのに・・・・・。 気が付いた時には、私の体は宙に舞っていた。 その直後、体全体が叩きつけるような衝撃に包まれたけど、不思議と痛みはなかった。 遠くなる意識の中で、誰かの呼ぶ声が聞こえたけどそれに応えることなく私は意識を手放した。 次に気が付いた時は、病院のベッドだった。 私が目覚めると、傍らで泣きそうになってこちらを見ている母の顔が視界に入る。 (お母さんっ・・・・) そう言おうと思うのに、私の口はまるで自分の口ではないかのように動くことはなかった。 慌ててナースコールをする母をぼんやりと見ていると、駆け付けた看護師が慌てて医者を呼びに行った。 「沙羅(さら)さんっ、わかりますか?」 そう言って掴まれた手には、なんの感触もなかった。 頭の片隅にひとつの考えが浮かぶ。 (もしかして・・・・私の体・・・。 どこも、動かない・・・?) 絶望的な気持ちが次第に押し寄せるが、今の私には叫ぶことも、ここから走り出してひとりになる事も出来なかった。     
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