白色

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
灰に埋もれた彼女の亡骸が世界を美しくする。 消えていた時間の概念がその瞬間を刻み始める。 絵具は混ぜれば黒く濁るけど可視光線の果ては真っ白だ。 僕の視界に写る現実の彼女は紛れも無く白色光源だ。 彗星が散りばめた混沌のパンデミック。 第三セクターに移動したパラダイムシフトに僕は置いてけぼりを食らった。 選択という名の自由は、同時に人間の限界値を揺さぶる。 その中で宙に浮いた実存性は残酷にも孤独を永遠に置き換える。 いや、初めからそうだった。 忘れていただけだった。 彼女はもういないのだから。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!