プロローグ

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 お隣さんちの山田さんは、少し変だ。  鳥の巣みたいな頭をして、いつ会っても寝ぼけ眼。のっぽな背丈に、寸足らずのよれよれ浴衣。大きなあくびをしながら、花壇のお花に水を与えるのが日課。それ以外は、縁側でいびきをかいて眠っている。  仕事は何をしているのか。いくつなのか。どこから来たのか。  誰も知らない。私も知らない。  山田さんは、少し変だ。  だけど、山田さんには秘密があった。  誰も知らない。知ってはいけない。  大きな、大きな秘密が。
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