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これまでの人生で後ろ向きに歩いたことはなかったんだ。ましてやお化けの国で歩くなんて賢明だとは思えなかったんだ。でもやるしかないんだ。僕は一歩後退したんだ。
踏み出したとたんに異なる空間に入ったみたいになったんだ。寒いんだ。体もリアルに重いんだ。あまり長居はできないんだ。僕は地蔵を頼りに粛々と後退していったんだ。
たぶんこの辺りのはずなんだ。見逃さないように注意深く見ていたんだ。
「うぅ・・・・・・・・・うぅ・・・・・・・・・・」
突然後方から呻き声がきこえてきたんだ。アイツなんだ。当然僕はあせったんだ。今はマズイんだ。
僕は急いで最後の身代わり人形を出したんだ。紐を持って背負う形のまま後退したんだ。
「うううぅうううぅぅうううぅ」
声がはっきり聞こえてきたんだ。まさかコッチから出向くなんて最悪なんだ。もうそろそろのはずなんだ。
その時後ろの人形が引っ張られたんだ。と同時に見つけたんだ。泥団子があったんだ。
パキパキッと音が聞こえる中、僕はそれを掴んで駆け出したんだ。急いでお供えに行こうとしたんだ。そのせいでポロっと泥団子の一部が落ちてしまったんだ。
「あっ」
と言うヒマもなく最後の地蔵に到着してしまった僕は、勢いのまま欠けた一部にアメ玉を突っ込んでお供えしたんだ。すると地蔵口を大きく開けてパクリと食べたんだ。
その判断が成か否か、判定を待つこともなくスルッと駆け抜けたんだ。まるで盗塁をするランナーのごとく地蔵エリアを突破したんだ。僕の心臓はフル回転で鳴り響いていたんだ。一瞬の間の出来事にノータイムで判断してまんまとかわしきったんだ。
後は出口に入るだけなんだ。絶対絶命を回避して僕はちょっと安堵したんだ。
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