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もう月が無くなりそうだったんだ。
僕達は急いで出口へ向かったんだ。出口はうす淡くなり今にも消えてしまいそうだったんだ。中をくぐるとトンネルになってるんだ。後はあの光に飛び込むだけなんだ。
意を決した僕はシュン君の肩を持ったまま叩いたんだ。シュン君は立ち止まったんだ。それから僕はドン!とシュン君を横に押し出したんだ。
ポカンとした表情のままシュン君は横の暗闇に消えていったんだ。
それを見送った後僕はトンネルの奥の穴を通ったんだ。気がつくと虫の声と川の音が聞こえたんだ。祠があってまわりは木々に覆われ遠くにはお墓も見えたんだ。僕は元の世界に戻ったんだ。それ以外は特に何も無かったんだ。
僕は安心したんだ。また無事に戻ってこれたんだ。そもそもお化けの国から帰れるのは1人だけなんだ。みんなには話してなかったけどそう言う決まりだったんだ。たぶん入場料のようなものなんだ。
帰り道は後ろのほうが有利なんだ。先頭はメンタルが弱いほうが都合がいいんだ。一番あせったのはアケミちゃんだったんだ。あのまま走り続けて先にゴールされてたらどうなっていたか。まさに心胆寒からしめられたんだ。
お化けの国で走るのは危険ではあるんだ。でも走り続けて助かる可能性もあるにはありそうなんだ。女の子をメンバーに入れるのはあまり好きじゃなかったんだ。女の子は想定外の行動をするから嫌なんだ。
でもお化けの国に行きたい子を集めるのも簡単じゃないんだ。女の子がいたほうが他のメンバー集めや行動心理に有利にはたらくこともあるんだ。本当は先頭にしたかったんだ。でも安全そうな真ん中の位置と言う理由で収めるしかなかったんだ。その辺は今後もしかたなさそうなんだ。
シュン君は想定通りメンタルが安定してたんだ。最後まで壁としてがんばってくれたんだ。ちゃんと走らないように抑えていたんだ。最後は手を汚すはめになってしまったけど仕方なかったんだ。惜しい存在をなくして少し残念だったんだ。
お化けの国で死んでしまうとこの世から存在がなくなってしまうんだ。元々いなかったかのように。でも僕だけはちゃんと覚えているんだ。
今年もお母さんに会えて嬉しかったんだ。来年もまた会いにいこうと決めたんだ。
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