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薄暗い月明かりの中で細い道が続いている。どこか現実ではないような世界の中で月は欠け続けていた。
今年の僕はとてもやるせなかったんだ。まだ帰り道が始まったばかりなのにすでに僕の前には誰もいなかったんだ。
原因は女の子だった。だいたいお決まりの一回目のお化けのとの邂逅で完全に狂乱してしまったんだ。2人目と3人目を巻き込んで盛大に消えてしまったんだ。おかげで壁なしでほぼほぼ全工程を進まなければならなくなったんだ。これだから女の子は苦手なんだ。
今年は集まりがすこぶる良く、ちょっと油断してしまったんだ。メンバーのメンタルについてはかなり見通しが甘くなってしまったんだ。こうやって自分の命が最前線に晒されてから反省するなんて。僕はなんてバカだったのか。
このことは心に覚えておかないといけないと思ったんだ。と思っている間にも時間が過ぎているんだった。僕は急いでポシェットの中を確認したんだ。
今回のこんな状況もある程度想定はしていたんだ。色々緊急用の道具は用意していたんだ。ただこのお化けの国で作動してくれるのかは未知数だったんだ。試してみる余裕はなかったんだ。今回は本番で試すことになるんだ。おそらくそうなると思うんだ。
本当はそんないい加減な可能性で試すのは嫌だったんだ。でも仕方ないんだ。それに先頭の経験はないから、これまで何が起こっているのか知らないんだ。結果しか見てこなかったんだ。
取りあえずライトを取り出して使ってみたんだ。ちゃんと作動したんだ。暗闇も少し見通せるようになったんだ。でも疑問は残るんだ。
お化けの国にないもの使ったらどうなるのか。逆に何かを引き寄せてしまわないか。判断に困ったんだ。何か見たくも無いものも見えてしまうかもしれない。自分の精神にもダメージを負う可能性も考えられたんだ。結局今までどおり無手ですすむことにしたんだ。後はその瞬間瞬間で判断するしかないんだ。
思考もまとまって僕は一歩踏み出したんだ。
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