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淡い細長い道を僕は足早に進んでいったんだ。やはり一人で歩くのは怖かったんだ。どうにか何も起こさず距離を縮めたかったんだ。でもやっぱり簡単にはいかなかったんだ。
僕は何かに躓いて盛大に前のめりにこけてしまったんだ。内心ではとても驚いたんだ。まず心の中で確認したんだ。声は出していないからこれはセーフなんだ。後は転んだだけで特になにもやってない。
ただ寝そべってるのと変わらないんだ。何に躓いたか興味はあったんだ。どうせロクでもないものなんだろうけど。でも後ろは振り返れないんだ。僕は心臓をバクバクさせながらホコリを払って歩き出したんだ。まだ始まったばかりなんだ。
僕はまた早足で進み始めたんだ。もう何かに躓く可能性があることはわかったんだ。想定内ならいくらでも対応できるんだ。
僕は快調に進んでいたんだ。そのときだったんだ。道の真ん中に何かが立っていたんだ。嫌な気配を感じて、僕の額から一筋汗が垂れたんだ・・・・・・・・・・。
まずは考えてみたんだ。そのまま無視してガンガン進むとどうだろうか?ただの幻で終わる可能性もある。でも何かされる。何かが起こる。結果死に至るかもしれない。
僕は苦渋の決断をしたんだ。やはりこれまでの経験上、道中はかなり積極的な死が降りかかる可能性が高いと判断したんだ。僕はポシェットから道具を取り出したんだ。ここが賭け時なんだ。
まずライトを使ったんだ。何がいるのか確認しようとしたんだ。光を当てると髪の長い女の人がいたんだ。後ろ姿で顔は見えないけどたぶん女なんだ。
どうしたものか。僕はまた考えようとしたそのときだったんだ。唐突に女の首がコッチに向いたんだ。関節を無視したようにクルンと回ったんだ。女の顔は腐りきっていたんだ。眼は窪んで腐り落ちて空洞がコッチを見ていたんだ。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
僕は純粋に叫んだんだ。普通にびっくりしたんだ。叫んでから口を押さえたんだ。まさか先手を取られるとは思っていなかったんだ。身体はノーモーションで仕掛けてくるとは思わなかったんだ。
女は呻き声を上げて襲ってきたんだ。もうすぐそこにいるんだ。僕はわら人形を女に向かって放り投げたんだ。女はそれを掴んで握り上げたんだ。ちゃんと機能したことを確信して急いで女の横を通りすぎたんだ。
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