気になるあの人は

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お婆さんとふたりで買い物がてらよく散歩していたらしい。 たまたまその日はお婆さんがいなくて、事故に巻き込まれたらしい。 「居合わせた誰かが救急車を呼んでくれたと、祖父が亡くなる間際に」 そういえばあったかなそんなこと。 お昼の買い物で自転車で出たところでひき逃げに出会(でくわ)してしまった。 財布しか持っていなくて、近くにあった公衆電話から、慌てて救急車を呼んだ記憶がおぼろげながら。 「亡くなられたんですか…」 愕然とする。 「でもナンバーも覚えていてくださって。お陰ですぐ犯人も捕まって。まだ救われました。ありがとうございました」 「ああ…」 「それで、あの道は遠回りだし、危ないからやめてって言っていたんだけど。その子に会ったらお礼を言わなきゃって、祖母も毎週水曜にあそこを通って病院に行ってるんです」 そんなことがあったのか。 知らなかった。 「あの、ご迷惑でなかったら、お祖父様にお線香、上げさせていただいても…?」 「いいんですか?是非お願いします」 涙を浮かべて微笑んでくださった。
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