好き。その二文字が言えなくて

3/4
前へ
/4ページ
次へ
「先生一人称がぐちゃぐちゃになってますよ!」 「いいじゃんそんなこと。疲れてんだよ俺ー。」 「いつもは僕なのに。」 「だって俺、大学では俺って言ってるし。」 そうなんだ。大学では俺キャラなんだ。今までの僕キャラは塾で作ってただけなんだ。 そして驚くことにその日から先生は僕と言うことを辞めた。 そしていつの日か罵倒までするようになった。 それが嬉しかった。 「バーカ」って言われる日も少なくなかった。 でも傷付かないのはそれが本気じゃ無いって分かってるから。 だんだん先生に惹かれていった。 そして冬のある日だった。 乾燥して私な指はあかぎれていた。 「あ、痛そうだね。」 そう言って先生は私の手首を掴むなり自分の目の近くに持っていった。 「俺あかぎれとかしたことねぇわ。」 顔が熱くなる。先生は何も考えずにやってるんだろうけど。私は、死にそうに心臓がうるさいんです。 「あかぎれなんて痛いだけですよ!」 先生は私の反応を見て楽しんでるように見える。 私の赤くなった頬を見るなり悪戯に笑う。 「先生。いつまで手。」 「てか、て小さいなぁ。」 そう言って手の甲から指を絡めてくる。 「もう!先生!」 私が顔をタコみたいに真っ赤にして言うと流石に先生も手を離した。 「ごめんって。そんなに怒らないでよタコちゃん。」 「タコじゃないですよ!」 こんなことするなんて先生は私のこと好きなんですかって自惚れてしまう。 そうじゃ無いなら。こんなことしないでって思っていた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加