好き。その二文字が言えなくて

4/4
前へ
/4ページ
次へ
思い出される先生との日々。 「じゃあもうこれでおしまいだね。」 そう言うと同時に私も先生もバックの中を漁り始めた。 「お互い考えることは同じだね」 そう先生は言った。 「先生。今までありがとうございました。」 そう言って私は紙袋と手紙を渡す。 「こちらこそ。」 先生もわたしに何かが入った袋と手紙を渡した。 言いたい。先生が好きって。会えなくなるなんて嫌だ!私は今にも泣きそうだった。 そう思っていた私の方を見て先生は言った。 「湿っぽいのは嫌いだよ。」と。 その言葉に私は泣かないでと言う意味と、好きなんて言うなよと言う意味の二つが感じられた。 私はもう「ありがとうございました。」 その言葉しか言うことができなかった。 先生が塾を去ってからもらった手紙を開いた。 書かれていた言葉に私は泣かずにいることは出来なかった。 やっぱり好きです先生。 「お互い考えることは同じだね。」 ほんとですよ。先生。同じキャラクターの便箋を使うだなんて。 言えなかった気持ち。言うことが許されなかった気持ち。 その思いは今も私の胸に残ったままである。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加