01 『はねかえる』

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さっきの…『灰色』さん。 傷そのものは…きっと、ちょっと大きめのピアスの穴が、耳たぶ辺りに増えていた位? だろうけれど。 でも…濡れた路上に、まだ、俯せたまま? それとも、そろそろ…気が付いてくれたのかな? 「…風邪なんかひいちゃう前に、気がついてくれると良いけど、ね」 と…お姉ちゃん、ぽつりと。 考えていたことは、私と同じく…『灰色』さんのこと? 「まあ…、でも、とりあえずは、ね?」 と、お姉ちゃん…濡れた前髪を、気にしながら? 「…あなたが、ひとつだけ、逃してくれていた、そのおかげよ」 って…。 え? 「無いものを『はねかえ』すことは、私にだって、出来ないのだし…ね」 …なんて? 小憎らしい位の、綺麗な微笑を浮かべながら…? …どうにもこうにも。 私は、答えようが無くって…。 「え、と、…ありがとう」 …と。 それだけ…。 お姉ちゃんは、にっこりと。 『その言葉を、はねかえす』 …なんて。 【continue…】 4c4e4824-e734-4a68-8bc7-800ea0bbac71 【file no.1 】 called name:『灰色さん』
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