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さっきの…『灰色』さん。
傷そのものは…きっと、ちょっと大きめのピアスの穴が、耳たぶ辺りに増えていた位? だろうけれど。
でも…濡れた路上に、まだ、俯せたまま?
それとも、そろそろ…気が付いてくれたのかな?
「…風邪なんかひいちゃう前に、気がついてくれると良いけど、ね」
と…お姉ちゃん、ぽつりと。
考えていたことは、私と同じく…『灰色』さんのこと?
「まあ…、でも、とりあえずは、ね?」
と、お姉ちゃん…濡れた前髪を、気にしながら?
「…あなたが、ひとつだけ、逃してくれていた、そのおかげよ」
って…。
え?
「無いものを『はねかえ』すことは、私にだって、出来ないのだし…ね」
…なんて?
小憎らしい位の、綺麗な微笑を浮かべながら…?
…どうにもこうにも。
私は、答えようが無くって…。
「え、と、…ありがとう」
…と。
それだけ…。
お姉ちゃんは、にっこりと。
『その言葉を、はねかえす』
…なんて。
【continue…】
【file no.1 】
called name:『灰色さん』
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