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終業を告げる、チャイムの音。
クラス・メイトたちは騒がしく、帰り支度に取り掛かっている。
閉め切られたままの窓の外側。
午後から降り出していた雨は、弱まる気配も無いまま。
けれど。
ほら…ね?
昇降口には、お姉ちゃん。
傘の無い私を、待ってくれていて。
そのまま、煙のような雨の中。
お姉ちゃんと、私と、歩き出している。
一本の傘の下…肩を並べて。
並んだまま、表通りの歩道。
と…前方から?
一台の大型トラック?
速度を落としもしないまま…?
そのままに、私たちの横軸へと?
…と!
路面の水たまりから、たっぷりの飛沫!
ぱっしゃあああああ、と?
え?
…なのに。
水のしぶきは、派手に、跳ねていたはず…なのに?
少しも、濡れていない?
お姉ちゃんも?
それに…私も?
と…言うことは。
「お姉ちゃん」
「『言』った、でしょう?」
と…私は。
そのひとを睨みながら。
「え?」
とか…お姉ちゃん?
「何のこと?」
…なんて?
いたずらげに、微笑みながら?
まあ…私の制服も、お陰で、濡れはしなかったけれど。
でも。
…だめ。
だめなものは…そう、だめ。
だって、誰かに、見られていないとも?
今だって…ほら。
あの、淡いパープルの雨傘の、下級生らしき女の子…。
こちらを見ながら、首を傾げていたでしょう?
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