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だから…私は。
「むやみに、だめだよ? こんなに、人目のあるところで」
と…精一杯の、怖い顔を。
なのに、お姉ちゃん…?
「…そう? じゃあ、次はしないわ、…でも、制服のお洗濯は、自分でするのよ?」
なんて。
…涼しい表情のまま?
ショッピング・モール前の、路線バスのターミナル。
お姉ちゃんと、私と…湿っぽいベンチに掛けて、次のバスを待っている。
姉妹一緒の帰り道なんて…それなりに、久しぶり?
可愛いらしい雑貨屋さんを覗いたり。
カフェのソファに掛けて、お菓子とお茶を楽しんだり。
そんなこんなで…気付いてみれば。
普段ならとうに、マンションへと帰り着いている位の時刻?
だけど…お姉ちゃんと一緒は、やっぱり、楽しい。
それにね、綺麗なそのひとと居るだけでも…嬉しいみたいな? 誇らしいみたいな?
そう…なんだか、うきうきした気分。
雨の日の帰り道、姉妹で一本の雨傘。
…うん。
悪くないかもね。
などなど思いながら…隣を見る、と?
お姉ちゃんの横顔…なぜ? 強張っている…?
その視線は、まっすぐに…対面のターミナルへと?
そして。
私も…気付いている。
霧のような雨のせいで、その輪郭は、滲んで見えるけれど。
宵闇の気配をはらんだ雨雲の色に、そのままのような?
…女の子?
灰色の、制服姿の…?
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