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だって…『ほど』いてやったのだもの。
そして、どうやら、間に合ったみたい。
私の身体へと着弾する、寸前、だったみたいだけれど。
が。
灰色の制服の…『灰色』さん?
ロータリーの中間辺りで、立ち止まったまま?
未だに…楽しそうに?
黒白の傘を、頭上で揺らしながら?
しっとりと濡れた白い顔の、その口許を…歪ませている?
とは…笑っているの?
「また…、来るわね」
お姉ちゃんは、なお、傘を睨んだまま。
「だいじょうぶ…うん」
私も、同じものを睨みながら。
次の瞬間!
『つらぬく』
『つらぬく』
『また、つらぬく』
『つらぬく』
『つらぬく』
『刺しつらぬく』
とか!
間断無く!
小さな、けれど鋭い、無数の切先!
連弾となって!
『つらぬく』とか…なんて物騒な言葉!
とか、思う間に!
鋭利な切先!
続々、迫り来る!
でも。
そう。
…だいじょうぶ!
『ほどける』
『ほどける』
『ほどける』
『ほどける』
『それも、ほどける』
と!
私は、私の『言葉』を!
その直後には!
複数の切先は、中空で、ばらばらに!
そう。
『つらぬ』かれる前に、『ほど』いてあげる。
それだけのこと。
が。
『灰色』さん?
…え?
それでも…笑っている?
…憐れむように?
見下すように…?
…どうして?
すべての『つらぬく』を、『ほど』かれていたくせに?
いえ。
『すべて』の?
まさか。
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