01 『はねかえる』

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だって…『ほど』いてやったのだもの。 そして、どうやら、間に合ったみたい。 私の身体へと着弾する、寸前、だったみたいだけれど。 が。 灰色の制服の…『灰色』さん? ロータリーの中間辺りで、立ち止まったまま? 未だに…楽しそうに? 黒白の傘を、頭上で揺らしながら? しっとりと濡れた白い顔の、その口許を…歪ませている? とは…笑っているの? 「また…、来るわね」 お姉ちゃんは、なお、傘を睨んだまま。 「だいじょうぶ…うん」 私も、同じものを睨みながら。 次の瞬間! 『つらぬく』 『つらぬく』 『また、つらぬく』 『つらぬく』 『つらぬく』 『刺しつらぬく』 とか! 間断無く! 小さな、けれど鋭い、無数の切先! 連弾となって! 『つらぬく』とか…なんて物騒な言葉! とか、思う間に! 鋭利な切先! 続々、迫り来る! でも。 そう。 …だいじょうぶ! 『ほどける』 『ほどける』 『ほどける』 『ほどける』 『それも、ほどける』 と! 私は、私の『言葉』を! その直後には! 複数の切先は、中空で、ばらばらに! そう。 『つらぬ』かれる前に、『ほど』いてあげる。 それだけのこと。 が。 『灰色』さん? …え? それでも…笑っている? …憐れむように? 見下すように…? …どうして? すべての『つらぬく』を、『ほど』かれていたくせに? いえ。 『すべて』の? まさか。     
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