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02 『ねじれる』
お姉ちゃんと私は、二人だけの家族。
いつからだろう…?
パパとママは…居なくなったきり。
そして、姉妹二人きりの生活になり…かれこれ、もう何年になるのかな…。
…しん。
と沈んだ、校舎西側の渡り廊下。
ここらから先は、上級生の教室の連なる、旧棟と呼ばれる古い建物がある。
放課後、と言うよりは…まもなく、昇降口に鍵の掛かる時刻…?
…なのに。
誰も居ないその通路を、一人きり、私は歩いている。
夕日の茜色と宵闇の紫色の、憂うつなモザイク模様の中を…。
それにしても…なんだか今日は、良いこととか、一個も無かったな。
掃除の時は、ちょっと手を滑らせちゃって、チョークの粉まみれになっちゃうし。
最後の授業で配られていた課題のプリントは、いつのまにか? 無くしちゃうし…。
でも、そういえば。
…そう。
そうだよ…!
良かったこと、と言うのなら。
ホーム・ルーム後の教室での四つ葉ちゃんとの会話を、私はふいに、思い出している。
『ねえ、待ってよ、最近、冷たいんじゃない? 』
なんて…私の視界をずい、と遮るや、彼女は出し抜けに。
と、思えば。
『…なんて言うのは冗談、…でも、何か、悩みとか、あるんじゃない…? 今日もずっと、ぼーっとしてたよね?』
…とか。
返答に困る私へと…彼女はさらに、畳み掛けるみたいに。
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