喋る死体

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「わあああああ!」 男は恐怖のあまり、腰が抜けてしまった。 「すみません、こんな姿で。でも、警察に知らせるのは、もう少し待っていただきたいのです。」 「俺、おかしくなっちまったのかな。」 「いいえ、あなたは正常です。僕は、この通り死体ですが、どうしてもこの世に未練があって、魂がこの世にとどまってしまいました。」 「マジか。ていうか、死体がしゃべるとやっぱ怖いわ。」 「すみません、じゃあ、こんなのはどうでしょうか。」 「ギャア!」 その死体の傍らに、赤のボーダーシャツに黄色のつなぎを着た〇ナルドが立っていた。 「あわわわ!」 「あ、これダメですか?ここらへんに捨ててあったので、ちょっと拝借したんですが。」 「余計怖いわ!」 「愛嬌があっていいと思ったんですけどねえ。」 有名ハンバーガー店のその薄汚れたキャラクターの人形は足を組んだままその場に倒れこんだ。 男は、不思議なことに、この状況と臭いに慣れてきたのか、何故死体が話しかけてきたのかが気になった。 「なんで警察に知らせちゃダメなんだよ。」 「実は、僕、恋人に殺されたんです。」 「はぁ?それがわかってるんなら、余計警察呼ばなきゃダメだろ。」 「でも、それでは彼女が捕まってしまいます。」     
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