喋る死体

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「当然だよ。殺人を犯したんだから。罪は償わなくてはならない。」 「確かにそうですが。でも、僕の体はごらんの通り、朽ちてきていて、この体が朽ちてしまうと、僕はたぶん成仏するか、記憶のないまま、浮遊霊となってこのあたりを漂うだけの存在になってしまいます。」 「できないかもしれないが、俺としては成仏をおすすめするな。」 「僕は、どうしても、知りたいんです。何故彼女が僕を殺したのか。」 「思い当たる節は無いのか?」 「ええ。僕らは、一か月後に結婚する予定で、恋愛のほうも順風満帆でして。喧嘩をしたわけでもないし、殺される理由がわからないんです。」 「彼女に他に好きな男ができたとか。」 「あり得ないこともないですが、それは考え辛いです。彼女はだいたい仕事以外は、僕と常に一緒に行動していて、彼女自身も仕事が忙しい人だったので、わずかな時間に浮気をするとか想像がつかないんですよね。」 「それこそ、警察の仕事じゃないのか?真実を追求するってのは。」 「ダメです。彼女が警察に捕まって一日中尋問されるとか考えると可哀そうだし。」 「お前なあ。どこまでお人よしなんだよ。お前、彼女に殺されてるんだぜ?恨むだろ、普通。」     
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