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たぶん、出会うべくして出会ったのではないか。
そんなことを誰かに対して思ったのは、きっと初めてだった。
運命なんて信じるような柄ではないし、そもそも人の出会いなんて全部が偶然。たまたま行き合うようなもの。それで馬が合えばそこから深い関係に進んで、そうでもなければそこまででサヨナラ。
そんなものだと思っていた。
だから、あなたと出会ったときには、思わず自分を疑った。だって、普通はそんなこと思わないんだから。ちゃちな運命論者ならもしかしたらありえるけど、私にとっては、そんなこと初めてだったから。
たまたま入ったファストフード店。
窓際のテラス席で、つまらなさそうな――この世の全てを悟ったような――顔でコーヒーを飲んでいるあなたを見たとき、そこで私は、初めて運命というものを感じた。
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