第7章 君は特別な贈りもの

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多分わたしが前回コンプレックス丸出しにしたからか。フォローして励まさなきゃ、って意識があるんだと思う。それはわかってるけど、ここまで手放しで褒めてくれると。実際身の置きどころがなくいたたまれない。あんな気高く美しい現実離れした女性像を描くひとの前で、こんな地べたにべったり足のついたリアルにちんちくりんな代物。…つらい。 お金を稼ぐって大変なことだなぁ。ちょっと違うか。 「ちびだから。長さだってどうしても限度があって…。でも、こんなんしか持ち合わせないですけど。好きなだけ見てください。…どんなポーズがいいんでしょうか」 彼は少しプロの顔つきになってす、と目を細めた。 「そうだなぁ。せっかくだから、この脚を強調して。椅子に浅くかけて、軽く組んでみましょうか。こっちの脚を斜めに伸ばして。…反対の脚を。こういう風に、少し絡めて」 やっぱり絵描きだ。頭の中には様々なポーズのイメージの在庫がしっかりあるらしい。てきぱきとわたしに指示をして、早速自分も正面に腰かけて素描を始める。しばし熱心に無言で集中していると思ったら、スケッチブックとこっちとに交互に目線を向けながら不意に口を切った。 「綺麗な形です。…腕も肩も、滑らかで張りがあって。人前で見せる仕事に需要があるのも納得いくな。何か、維持するためにしてることとかあるの?」 「え、わかんないです。むしろそんな技術あるなら教えて欲しいかな」 わたしは馬鹿正直に首を捻った。美の秘訣?みたいなことだよね。いやいやまさか。     
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