1人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
熱いものは、止まらなかった。ただただ、寂しかった。今まで寄り添ってきた家族が、心からもいなくなってしまったような気がして、たまらなく寂しかった。
だけど、嬉しかった。死ぬまで愛してくれた家族みんなは、今でも愛してくれてるんだなって思えた。愛が重荷なんて、お母さんたちが聞いたら怒るかもしれない。
「……決めたよ、お母さん」
景色は滲んだままだったけど、心は晴れやかだった。私は、前を向く。そして、生きる意味を、これからの私の人生を、私自身がつくり上げるんだ。
「私は新しい居場所を見つけるよ。そして家族にもらったこの愛を、誰かに分けてあげたい。独りでさまよってる誰かに、私は寄り添いたい」
そうして、私は前を向いた。私がここで生きるために。生きてくれてありがとうって、またいつか、お母さんと再会したときに言ってもらえるように。
「さよなら。また会おうね、お母さん。みんな……」
もう心に寄り添っていた家族とはお別れ。でも、もう怖くない。寂しくない。
これから寄り添う新しい誰かを見つけるために、ちょっとお別れするだけ。
でも、遠いどこかからでいいから、見届けててね。
最初のコメントを投稿しよう!