凱旋

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凱旋

主人公【ラサ・アッシュ】 アイザス王国【エフィ】【リーム・アイザス】 エキストラ[アイザス国王][ナレーター] 背景:個別救護テント  戦後指示を終えて、ようやく休息を取る事が出来た。 リーム:ラサも、これで任務達成よね。 ラサ:そうだな。  傷の手当てを受けた後も、暫く安静が必要なラサに、リームは熱心に世話を焼いている。  今は二人きり、ラサは安静の身。 リーム:城に戻れば、しっかりとした恩賞が出るとは思うけど‥‥。その前に‥‥その‥‥。 ラサ:どうした? 歯切れが悪いな。 リーム:わたくしからも‥‥褒美を取らせて差し上げますわ‥‥。 ラサ:それは光栄だな。  簡易ベッドから半身を起こしたラサを、じっとみつめるリーム。 リーム:わ、わたくしと‥‥こ、婚約なさい!  突然の求婚、呆気にとられるラサ。 リーム:き、救国の英雄には、当然の権利ですわ! そうすれば‥‥凱旋にも箔が付くというものですし‥‥。  いつもの調子でまくしたてようとして、尻窄(しりすぼ)みになるが、それでも視線は外さないリーム。  ‥‥。  暫しの沈黙。 ラサ:‥‥嬉しいよ。  オレの言葉に、表情を明るくするリーム。 ラサ:一国の、こんなにも美しい姫君の求婚を受けるとは、本当に光栄の至りだ。 リーム:ほ、褒めても何も出ませんわよ?  真剣に言葉を選ぶラサに、少し安堵したリーム。 ラサ:だが、すまない‥‥ オレには心に決めた人がいるんだ。  ‥‥。  再び沈黙。  リームの瞳が潤む。 リーム:いずれは一国の主になれる二度とない機会をあげましたのに、きっと後悔しますわよ‥‥。 ラサ:そうだな‥‥。  苦笑するラサに抱きつき、口づけをするリーム。  そして、すぐに身を翻す。  キラキラとした雫が飛び散る。 リーム:それはアイザスを救った英雄への褒美です! 今のは国のことを、政治のことを考えての申し出。べ、別に好きとかそういうのじゃないんだから‥‥!  そのまま振り返ることなく、足早にリームは立ち去った。
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