20人が本棚に入れています
本棚に追加
「出て行けーーー!!」
「言われなくても出てくわよ!こんな家!!」
思い切り蹴飛ばしたドアが、一メートル先まで吹き飛んだ。
背中に追すがる母さんの声は、当然無視。部屋まで一気に駆け上がる。
またドア。
ああ、もう。遮るものすべてが、怒りの炎に油を注ぐ。
***
「またドア壊れたね。」
「もう直さなくていいかしら・・・。」
「・・・いいんじゃ・・・!?」
今度は二階から、雷でも落ちたような音がした。
「また壊したわね、あの子・・・。」
ドアを蹴倒したのは、来年の冬に大学受験を控えた僕の姉、ミズ姉。
一言で言えば、ミズ姉は美人だ。弟の目から見ても。
切れ長の瞳を飾る長いまつげ、形のいい鼻、薄紅色のふっくらとした唇。そしてなにより、まっすぐにのびる長い金の髪。ミズ姉は私立中学に入学したときから、ずっと金髪だ。
僕の家に、父さんはいない。死んでしまったらしい。
ミズ姉は金髪、ついでに母さんも金髪。
僕は・・・
最初のコメントを投稿しよう!