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「あんた、時間まで計ってたでしょ?」
(それも、全部計算済みで、やってたでしょ? 今までの会話)
悠は動じることなく、にっこりと、
「行ってください」
(小言は聞きません)
テコでも動かない神を前にして、アメティス王子は観念した。
「わかったわよ、行ってくるわよ」
(まったく、人使い荒いんだから~)
レイトはその場から、姿をすっと消した。
悠はスメーラ神殿へ戻った。長い廊下を歩いて行くと、札のかかった部屋の前へたどり着いた。
『フレナス対策室』
ドアを開けると、中には五人の女がそれぞれの席に座って、PCのモニター画面をじっと見つめていた。悠は慣れた感じで、
「お疲れ様です」
「お疲れ様です」
五人は顔を上げて、悠に返してきた。悠は自分の席、右奥の真ん中へ向かって、歩いていき、持っていた資料を机の上に置いた。自分の右隣に座っていた、太陽の世界担当の、覚師が妖艶な笑みで、
「どうでしたか?」
「こちらでいいそうです」
「そうですか」
「そちらはどうですか? もう、パル プレインは転生しましたよね?」
(太陽の世界は動き始めましたよね?)
「えぇ、あの者は過去世の記憶が残っているので、そこまで危惧することではないです」
(精霊族ですから、それに、地球でも魔法が使えるようになると思いますし……)
ルシアの予測不可能な未来と同じチームの人の意見を聞いて、
「そちらの方が良かったのかしら……?」
(ルシアの過去世の記憶を残して、別の方法で進めた方が良かった?)
真向かいの席に座っていた、炎の世界担当の枢が笑顔で元気良く、
「もう、決定でーす! ラリホー!!」
(変えられないことを、考えても仕方がないです!)
その左隣から、淡い黄色の髪をした、水の世界担当の秋の大暴投が。
「どこがですか?」
(そんなところありましたっけ?)
悠の左隣、月の世界の担当、改が絶妙に拾って、
「空にです」
(『欠点』ではないです。『決定』です。
どこへ投げてもいいですよ、手が少し空いたので、お相手します)
全然違うことをわざと言って、それにもれずに引っかかり、大暴投神、秋は、
「誰と誰がですか?」
(似てる……ですか?
違う話をしてた気がしますが……)
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