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大暴投と誘発発言が繰り返されている入口に近い席に座っているふたりを放置して、他の四人は少し微笑みながら、仕事を進めていた。キーボードもマウスもない、PCのモニターを見つめて、転生の順番を、改は確認するしているふりをしながら、さらに誘発発言。
「アイシス ソフィアンスキー がそろそろ転生するんですね」
(『空似』ではないです。『空に』です。
次はどちらへ投げますか?)
秋はPCから視線を外したまま、不思議そうな顔で、
「それが今日のお弁当ですか?」
(足りるんですか? それだけで……)
「アイスではありません。転生の確認です」
(ここら辺で終わりにしないと、大きなことが起こるみたいですよ)
ボケと誘発を、ここで改が強制終了した。
「あぁ、そうでした。仕事がーー!!」
(た、大変です!)
秋はあるデータを見つけて、椅子からパッと立ち上がり、それを後ろへバターンを倒した。いつも通り慌てている彼女を前にして、他の五人はおかしくて微笑んだ。だが、対する秋は真っ青な顔をして、震える声で、
「み、みなさんに、共有します」
(すべての世界で、起きてしまいました)
他の五人の画面上が、ぱっと切り替わり、
『フレナスの先制攻撃、Redelightz《リディライツ》家の滅亡、ヒュー ウィンクラー/八神 光の精神的ダメージ、その後の後遺症』
机の上に乗せていた資料を、秋は大慌ててつかみ、ドアからぴゅっと飛び出していった。
「えぇっ!? 私もこれは初耳です!」
向かいの席に座っていた、枢が少し驚いた顔をした。彼女の右隣に座っていた、雪の世界担当、惺は別に驚いた様子もなく、
「そうですか? ある程度予測できたと思いますけど……」
(秋さんは気づいてなかったんですね)
口の横に手を添えて、大きな声で叫ぶような仕草をして、枢は、
「心臓ドキュンでーす!」
(びっくりして、私も思わず、椅子を倒しそうになりました。
というのは、大げさな話ですが……うふふ)
視線と思考でつながっているPCのモニターを見つめながら、改が片肘をデスクの上へつき、
「もしかして、太陽の世界への総攻撃も知らないんですか?」
(そっちの方が、可能性低いから、知らないんじゃない?)
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