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枢は手のひらで鼻をすする仕草を粋にして、
「それはガッテン承知でーす!」
(そこに攻撃を集中させて、一気に他を解決ですよね?)
覚師は色っぽく微笑み、
「枢さんはどんな時でも、明るいですね」
(元気一杯って感じだわね)
「それが私の長所なんで、それなくしたら、私じゃなくなっちゃいます!」
ここで、みんなが声を出して、笑い合った。それを遠くに聞きながら、悠は来る、運命の日のデータを見つめていた。
(やはり、ここは……五千年前と同じ……)
異変を感じ取った右隣の覚師が、
「悠さん、それでも意味があるのだと思いますよ。危険だったら、スメーラ様はお止めしてると思います。何か考えがおありなのだと思います」
「そうですね……」
悠は画面をぼんやり見つめたままだった。今度は左側の改から、余裕の様子で、
「それを乗り越えなかったら、ルシア シンダールは、いつまでたっても前に進めないですよ」
悠を励まそうと、最初は元気に言っていた枢は途中から、何か思い出して、言葉が失速した。
「大丈夫ですよ、リエラ カリアントは……月の属性なんですから……」
妙な間が空き、みんな同時に、
「1st rewind《ファースト リウィンド》……」
人よりも長い年月を生きている彼女たち。当然、人が知らないはるか昔のことを知っている。ある時期の大きな出来事を、共通の名でつぶやいて、スメーラの部下たちはしばらく何も話さなかった。
彼女たちの心とは裏腹に、綺麗で穏やかな光が窓から降り注いでいた。
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