Last resort

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 悠は頭を丁寧に下げて、部屋から出ていった。スメーラはふと立ち上がり、空を見上げ、遠いラピスラズリが存在する宇宙ーー敵へと神経を傾けた。 「これで、六度目です。フレナスは何度同じ繰り返しをすれば、気がすむのでしょう。今回のことによって、魂が大きく揺さぶられ、ルシア シンダールは順番を破って、最初の記憶ーー1st change《ファースト チェンジ》を、取り戻してしまうかも知れません。ですが、そちらで力が本来のものに戻るかもしれませんね」  スメーラは優しく微笑んで、ドアへ振り返り、 「そろそろ、転生し始める者が出ますから、謁見の間へ行きましょうか。まずは、パル プレインからですね」  きりっとした瞳に変わり、スメーラは執務室を出て行った。    スメーラ神殿の別の庭で、細身の剣を鮮やかにひらめかせている、紫髮の人がいた。月のような透き通った綺麗な肌、髪は綺麗にブラッシングされ、剣を振るう度、サラサラの髪が美しく舞う。  すらっとした体躯で、女性的。人ではない、どこか神秘的なものを感じさせる。左下から右上へ剣をビュッと引き上げると、 「ーーあぁ、こちらにいたんですか」  女の声がかかって、紫髪の人ーーレイト ザキレイは剣を慣れた手つきで、(さや)へしまった。そして、野太いなよっとした感じで、 「ちょっと~、遅いじゃな~い。もう、あたし、転生する順番来るんだけど~」 (ヒュー、カータ、あたしの順なんだから~)  水色の髪の女ーー悠がにっこり微笑みながら、 「レイトは関係ないです。いつでも、出入り自由ですから」  他の人とは違う点を挙げられたが、レイトは少し冷たい視線をやって、 「あんた、あたしの肉体だけ作って、中身空っぽにする気ぃ~?」 (魂は入れないってことじゃな~い、それって)   悠は真面目な顔で、 「話は変わります」 (要件があってきたんです)  急展開の会話を、レイトは絶妙に拾った。 「あんた、意外と強引ね」 (しっかりしてるわね) 「レイトの転生まで時間がありませんから」  さっき関係ないといっていたのに、魂をしっかり入れて転生させる気の悠。レイトはあきれ顔で、 「あんた、ルーちゃんに似てるわね、どことなく」 (思考回路、ちょっと壊れてるんじゃない?)
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