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レイトはため息をついて、長い髪を耳にかけた。
「でぇ~、結局どうするの?」
「何もしないと、未来の可能性はこうなります」
(ルシア シンダールの行動を全て予測した結果です)
悠が言うと、紙の山がうず高く積まれた状態が突如、ふたりの間に現れた。てっぺんが見えないどころから、空を突き抜けそうな資料の山。
レイトはそれを見上げて、ため息をつき、
「立派な塔ができたわね。ルーちゃんのミラクル未来って名前の塔が~」
(ルーちゃん相変わらず、めちゃくちゃだわね、思考回路が。
予測ができないってことね、これって。
でも、森の世界じゃ、あたしがルーちゃんのサポート役だから、仕方がないわね。
精霊族を守護できるのは、人族じゃできないものね)
視線を下ろして、悠の顔をじっと見つめた。
「っていうか、これ、全部あたしに拾えっていうんじゃないでしょうねぇ?」
(あたし、他の人よりもやること、ひとつ多いのよ。
それ、ちゃんと考慮してる?)
レイトの心の声に応えるように、悠は打開策を提示。
「ですので、ルシア シンダールの過去世の記憶を消すことにしました」
(こちらで、だいぶ未来の数は減ります)
「そう。で、どうなるのよ? この立派な塔は」
レイトはルシアの未来という名の塔に手をかけた。すると、すっと縮んだが、190cmの背があるレイトの、二倍ぐらいはまだあった。
「それでも、これくらいあるの~?」
(ルーちゃん、本当に予測不可能よね~)
レイトは一旦納得しかけたが、何かに気づいて、素早くツッコミ。
「って、それって、ルーちゃん、魔法も忘れてるってことじゃな~い」
(どうすんのよ?
精霊族の王子なのに、魔法使えないって。
政治に大きな影響与えるじゃな~い)
「そこは、すぐ思い出します」
「そう……」
一旦納得しかけて、レイトはまた素早くツッコミ。
「って、ちょっと待ってよ。東の森を出るってことじゃないの? それって」
(精霊族の決まりも、全部消え去ってるってことよね)
「はい」
反論もせず、修正もせず、問題を肯定してきた悠に、レイトが両腕を下に降ろして、突っ張った感じにし、
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