Last resort

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 悠は晴れやかな顔で、 「ありがとうございます」 「褒めてないわよ」  とりあえず、一言突っ込んで、レイトは、 「理事長って、関係してんの?」 「してます。葛見 雅也で、別枠で転生しています。ちなみに、クラスメイトの前原 瞳もです」  レイトのアッシュグレイの瞳は一瞬閉じられ、前世が誰なのかわかって、ため息をついた。 「それって、あっちの親子でしょ?」 (いたわよね、そういう人間) 「そうです」  短くうなずいた悠の前で、レイトははるか彼方(かなた)、ラピスラズリへ想いを馳せた。 「手広くやってるわね、スメーラ神って」   ここで、悠からある人たちの名前が。 「そこには、セリル グェンリードとユーリ ソフィアンスキー もいますよ」 (これで、レイトは動きますね)  レイトはその場で悶え苦しんだ。 「いや~ん、セリルちゃんとユーリちゃんいるの~! じゃあ、それやる~」 (ふたりとも、ゲットしちゃう~!)  オプションを納得させたところで、悠は注意点を上げ、 「それから、ルシア シンダールは、地球では魔法は使えませんが、途中から、レイトを見て、話はできるようになると思います」 (精霊族は使えません)  レイトはすっと真顔に戻って、 「あたしは、肉体があっても使えるってこと?」 (あんた、わざわざそんなこと言うなんて、そう言うことよね?  結構、策略的ね)  悠はにっこり微笑んで、 「多少、誤差は生じるかもしれないですが……」 (おそらく生じます、レイトは初めてですから)  不確定要素を突きつけてきた神に向かって、レイトは目を細めて、  「思いっきり嫌な予感のすること言ってくれるじゃな~い?」 (初心者にも優しくしなさいよ、あんた) 「はい、思いっきり嫌な予感です」 (レイトの経験になります)  どこまでもにっこりしている悠。レイトは空を見上げて、 「あたしの言葉失わせて、どうすんのよ?」 (よくも、チェックメイトしてくれたわね、このあたしを)  悠は腕時計を見て、 「そろそろ、転生の時間です。行ってください」 (戦いが始まるまで、二十五年と一ヶ月です)  レイトはどこまでも晴れ渡る空を一旦見て、再び悠へ、あきれた顔を向けた。
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