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「堂城様。お連れ様がご到着されました」
仲居さんの声が、襖の向こうから聴こえてくる。
先に、客間に案内された堂城は、その声に、自分の唾をゴクリを飲む。
(あの向こうに、彼女が居る。彼女は、きてくれた)
「堂城様? 堂城様!?」
堂城が、妄想の世界に入り込んでいる間に、仲居さんが自分の前に新しいお茶を出してくれていた。
「すみません。少し、ぼっとしてしまって」
「…堂城様。時には、休息も大切ですよ? では、わたくしは、お食事の用意がありますのでこれで失礼します」
一礼すると、仲居は客間から出て行った。
すると、それと入れ替わるように、背中まで伸びた黒髪。そして、その黒髪が映える胸元と腕が少し透けたシースルーの赤い花柄ワンピースを着た女性が、堂城の居る客間に入ってきた。
「…樹利亜?」
自分の目の前に居るのは、本当に自分の知っているあの樹利亜?
「…」
_タッタタギュっ_
「堂城君!? ずっと会いたかった!?」
抱きついてきた樹利亜を堂城は、優しく受け止める。
「…俺も会いたかった。おかえり樹利亜」
(あぁ…やっぱり…樹利亜だ)
「ただいま」
堂城の胸の中で、樹利亜が優しく微笑む。
★★
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