108本の赤い薔薇の花束

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_5分後_ 「お待たせしました」  樹利亜が、108本の赤い薔薇を持って男性の前に戻ってきた。 「あの? どうして店員さんは、僕達夫婦にそこまでしてくれるんですか?」  薔薇の花束を受け取りながら、男性は樹利亜に、どうしてそこまでしてくれるのか尋ねる。 「わたくし達は、お客様に喜んで貰うのが仕事です。ですから、自分は、お客様にとって最善の提案をしただけです」  樹利亜は、本当は花屋ではなく、雑誌の編集者だと言わずに、ただ一言喜んで貰うのが仕事だと伝えた。  けれど…本音を言うとは、一途に一人の女性を愛する姿を羨ましいと思ったから。 「…そうですよね? あの薔薇ありがとうございました。妻もきっと喜ぶと思います」 「はい。こっちらこそ、ありがとうございました」 ★  
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