259人が本棚に入れています
本棚に追加
_5分後_
「お待たせしました」
樹利亜が、108本の赤い薔薇を持って男性の前に戻ってきた。
「あの? どうして店員さんは、僕達夫婦にそこまでしてくれるんですか?」
薔薇の花束を受け取りながら、男性は樹利亜に、どうしてそこまでしてくれるのか尋ねる。
「わたくし達は、お客様に喜んで貰うのが仕事です。ですから、自分は、お客様にとって最善の提案をしただけです」
樹利亜は、本当は花屋ではなく、雑誌の編集者だと言わずに、ただ一言喜んで貰うのが仕事だと伝えた。
けれど…本音を言うとは、一途に一人の女性を愛する姿を羨ましいと思ったから。
「…そうですよね? あの薔薇ありがとうございました。妻もきっと喜ぶと思います」
「はい。こっちらこそ、ありがとうございました」
★
最初のコメントを投稿しよう!