1人が本棚に入れています
本棚に追加
自惚れている事は百も承知で自分の事を言うけれど、文武両道に秀でていて家もそこそこお金持ち。
誰もが羨む様な、謂わば「完璧少女」である。
「完璧」と言うからには「容姿端麗」も含まれていると思われる…これは数値で表せない物だから、私の推測なんだけど。
下級生の女子達に「お姉様ー」等と黄色い声を上げられて天狗になっているのかもしれない。
皆には慕われている方だと思う…が、特に親友と呼べる友もできず、内心寂しいなー、とか思っていた。
そんな私の秘密の趣味。
それは…BL大好き、世に言う「腐女子」なのである。
今日も好きな作家の新刊が出る、という事でいそいそと本屋に向かう。
しかし、周囲の目を気にしてなるべく学校から離れた、同じ学校の生徒に出会わない様な離れた場所を選んで。
そうそう、これ。
これが読みたかったんだー。
本を手にウキウキとレジに向かおうと、くるりと後ろを振り向いた瞬間・・・・・。
私の手から本がぽろりと落ちた。
クラスメイトのあまり目立たない少女が立っていた。
「あ、あの、これは!姉に頼まれて…その…」
私に姉などいない。
「終わた」と思いきや、意に反して彼女は本を拾い私に手渡しながら、恥ずかしそうに
「私もその作家さん、好きなんですよね。あ、もちろんこれをネタに貴女を強迫なんか絶対にしませんから!」
手をバタバタ交差させ「違う、違う」のリアクション。
ん?
よく考えたら、この作家を好き、というか知っているという事は…彼女も腐女子なのでは…?
私は思い切って言ってみた。
「趣味が同じなら…その…友達になってくれないかな?」
きょとんとする彼女。
「えええええ?私みたいにドン臭い私が、貴女みたいな人と、おと…お友達になるとか…え?え?え?」
今度は彼女が驚く番になった。
私は
「だって趣味が同じなんだもん!腐女子でオタクで…こんな趣味、人には言えなくて…だから寂しくて…」
すると、彼女は漸くぱああああっという明るい顔になって答えてくれた。
「…はい、喜んで」
やっとできた同志に
「じゃあ、これからは一緒に秘密のお話しましょ?」
と、悪戯っぽく人差し指を口に当てて 「しーっ」のポーズをとって。
それから私は、彼女と学校の屋上で一緒に昼食をとる様になった。
最初、皆は「え?この組み合わせ?」と驚いたみたいだけど。
そして、私と彼女はランチを楽しみつつ、今日も秘密の腐女子の会話に花を咲かせるのだった。
最初のコメントを投稿しよう!