彼女

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それから、私は毎日のように旧校舎へと行った。 幽霊、と言われ少し怖い気もするが、何故だか幽霊の彼女、秘子に惹かれていた。 秘子は頭が良く、国語、数学、英語などなどどんな科目の問題もさらさらと解けてしまう。 また、旧校舎でずっと一人だったため、話し相手が欲しかったのだろう、私に色んなことを話してくれた。 旧校舎から見る夕陽は綺麗だとか、図書室の司書さんはその厳つい姿に似合わず小動物が好きだとか。 旧校舎の何処かのロッカーにミイラがあると真剣な眼差しで言うものだから、私は旧校舎のロッカーを全て調べることになった。 結局ミイラは見つからなかったけど、クスクスと笑う彼女を見るとこちらも可笑しくなって、二人で笑いあった。 そうして出会ってから一週間経った頃。 いつものように旧校舎でお喋りをしていた時、ふと疑問が浮かんだ。 「秘子さんは地縛霊ですか」 地縛霊、自分の死を受け入れられない人の霊が思入れのある場所に留まる、怨霊。 秘子は旧校舎から出ようとしない。 もしかして…と質問をしてみた。 「地縛霊、ね。もし私が地縛霊だったらどうするの?」 「成仏させます!」 いつまでも囚われているなんて、つらいに決まっている。 せっかく会えたんだから、私が成仏させてあげたい! だが、私の折角の申し出はあっさり拒否された。 「私、まだ成仏出来ないわ」 「どうしてですか?」 私が聞くと、彼女は顔を伏せて言った。 「私…どうしてもしなければいけないことがあるから」 「それなら、私にも手伝わせてください!二人なら…」 「それは無理よ」 私の言葉を遮って言う。 なんで、と私が聞くより早く、彼女は言った。 「私には殺したい人がいるの」
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