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「第一、糸って何だよ、糸って。電話とか運命の赤い糸とか……そんなものしか知らないぞ」
大方、変質者がコンニャクか何かを投げでもしたんじゃないのか?
いや、そうだとしたら、十分事件だな。
「あ、運命の赤い糸といえば、こんな話って聞いたことある? 縁結びの神様が絡んでるってやつ。糸じゃなく縄だって説もあるけど……あたしとしては、男女の恋愛よりも災いから守ってくれる話の方が好きだなー」
あぁ、始まってしまった。彩香は昔からこの手の話題が大好きだ。
超能力や幽霊、UMAなど所謂オカルトに分類する話には目がない。
しかし好きな話なのだから、盛り上がるのは普通だと思う。
俺も剣道に関する話だったら彩香みたいになると思う。
そう考えると、早く部活に専念したいな。早く先輩を説得して遅れた分を撮りも出さないといけないな。
「……それでね、もし妖怪が絡んでるとしたら、面白そうじゃない?」
どうやら彩香の話はまた脱線して、別の話になっているようだ。
俺も彩香の話は全然聞いてなかったし、おあいこってことにしておこう。
「あ、あぁ、そうだと思うぞ」
適当に相槌しつつ、俺は腕を軽く振ってみる。うん、今日も大丈夫だ。全然痛くない。
やっぱり完治してるじゃないか。これなら今日から朝練へ行って素振りをすれば良かったな。
その方がよっぽど有意義だ。それで、怪我が完治したことを先輩とコーチに証明すれば、以前のように激しい練習ができる。
「……というわけで、アンタを調査員2号に任命する!」
「マテ。何の話だ」
また突然、話がぶっ飛んだぞ。調査員だと?
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