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キーン、コーン、カーン、コーン――
お昼を知らせるチャイムの音が鳴り響く。
待ってたぜ、この音を。俺の腹はもう、空腹で限界だ。
正直、さっきの授業が俺の好きな歴史じゃなかったら、とっくに早弁をしていたところだ。
「おぉーい、直哉ー今日はどこで昼飯食う?オレとしては、今日こそ屋上案をプッシュするぜ!」
「それは嫌だって、何度も言ってるだろ、恭平……いい加減、諦めろよ」
授業が終わるや否や、早速昼飯の場所について、俺の親友もとい悪友の――村上恭平――が声をかけてきた。
茶色に染めた髪が更にコイツの雰囲気を軽く感じさせる。
そして、俺は会う度に思う。どうしてお前はいつも学生服の下にパーカーを着ているのか。
俺が知らないだけで、そういうのが流行っているのか?
学生ならちゃんと制服指定のシャツを着るべきだ。先輩みたいにホックまで止めろ、とまでは言わないが。
「なんでだよー! 直哉はいつも、いい子ちゃん振りやがって!」
「それに何度も言ったが、屋上へ行っても、女子の着替えは見えないぞ。この学校はそういう構造になって――」
「おやおや、オレは一言も女子の着替えが見たいなんて、言ってないぞーついに直哉も男の本性を現しやがったな」
あぁ、本当にめんどくさい。というか、殴りてぇ。
それがダメなら、せめて竹刀でニヤついた顔に面を一発、叩き込んでやりたい。
「はいはい、そこまでよ、村上君」
いいタイミングだ!
俺の気持ちを察して、彩香が割って入ってきた。
「アレ? 彩香ちゃんじゃない。どうしたの、珍しい」
ターゲットを俺から彩香へ変える恭平。単純な奴め。
しかし、彩香がすぐに俺のところへ来るのは珍しい。
いつもなら、友達と一緒にお気に入りの場所でお昼を食べるはずなのに。
あぁ、そっか。そういえば今朝方、もう一度調査の参加について確認するって言ってたっけ。忘れてた。
「もしかして、オレたちと一緒にお昼ご飯を食べたいーとかだったりしてー?」
「ううん、違うよ。あたしは直哉に用があって来たの」
「直哉に用がある……? ま、まさか…直哉、お前…オレという親友がいながら、とうとう彩香ちゃんに……」
「用って、もしかして今朝のか? もしそうだったら、俺はやらないって言ったはずだぞ」
「えーどうしてもイヤ?」
「どうしてもだ。イヤなものはイヤだ」
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