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「2人してオレを無視しないで! …って何だ、調査?何か調べるものでもあるのか?」 しまった。恭平が興味を持ち始めてしまった。 こいつが絡むと絶対、面倒で余計なことが起こる。ここは何とか上手く誤魔化そう。 「そうなの、直哉に最近起きてる事件について、調査しようって誘ったの」 ちょ、ちょっと待て。彩香、その流れはマズイ! 「何それ、面白そう! オレも混ぜて混ぜて!」 「…………」 さっきまで俺の味方だと思った彩香は一瞬で裏切った。 「本当にいいの?結構キツイこともお願いするかもしれないよ?」 「いいって、いいって! バイトがあるあから、さすがに毎日は無理だけど……オレにできることは何でも言ってくれよ!」 こうなった恭平はもう何を言っても絶対に諦めない。そのことはよく知ってる。 「ホントに?助かるよ、村上君。あたし1人だと、どうしても限界があるし……こういうのは、人手が多ければ多いほどいいんだよね」 「任せてよ!オレ、そういうの超得意だからさ!」 マズイぞ。どうする。どうするよ、俺! 正直、行方不明事件なんて警察に任せればいいと思うし、わざわざ調べる意味なんてないに決まってるのに。 調査とか絶対に興味もないクセにどうして恭平はこんなにもノリノリなんだよ! しかし、恭平を彩香と一緒にいさせると何をしでかすか予測がつかない。 過去に体育の授業で調子に乗って、サッカーの練習中にオーバヘッドキックをかましたときは正直、どうしようかと思った。 しかも頭から落ちてヘンな音がしたときはさすがに焦ったけれど。 本人は全然大丈夫って言ってたけど、授業は中止になるわ、救急車が呼ばれてなぜか俺が付き添いになるわでもう大変だった。 まぁ、それだけど終わるなら全然マシなんだか。 コイツの場合はそこから更に悲劇を生むから危険なんだよな。 まさかすっぽ抜けた靴が、教頭の頭に当たるなんて、そんなの漫画でしか見たことないし。 だけど、教頭のヅラが吹き飛ばされなかっただけでも、不幸中の幸いだ。 病院の検査から帰ってきた後、その別の事件が発覚してめちゃくちゃ怒られたな。 クソ、思い出しただけでイライラしてきた。
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