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すずめの鳴き声と眩しい朝日を浴びて、俺は少し小走りで家を飛び出した。 ただただ無心で河川敷を走り、学校の近くまで続いている商店街へと向かう。 犬の散歩をしているおじさんや俺と同じく学校へ向かうであろう小学生たち追い越して行く。 一定のペースを保ち走り続ける。 身体がほぐれてきたのを感じる。 うん、今日も調子がいい。 そんなことを考えつつ、通っている県立高校が平地にあって良かったとも思う。 もし山の上にあるのなら、このペースで走り続けることは不可能だろう。 いつも参加していた朝練に参加できないため、自主的に始めた早朝ランニングだが、これが結構楽しい。 体力の低下も防げるし、遅刻も絶対にしない。良いこと尽くしだ。 だけど今日は違う。ペースを乱してもいいので、少しでも多くのカロリーを消費したい。 昨日の夜ご飯をいつもより食べ過ぎてしまって、体重が少し増えたことがほんの少し気になっていたからだ。 いや嘘だ。本当はとても気になっている。 食べた分だけ増える。単純な摂理に誰も逆らうことはできない。 唯一、逆らう方法はカロリーを消費すること。つまり身体を動かすことだ。 運動部に――しかも剣道部という、夏には自然サウナとも呼ばれている――所属している俺は期待の新人と言われ、入部当初から先輩たちに頼りにされた。 元々、運動部自体が有名な高校ではないけれど、俺が入ったことで県大会優勝も夢じゃないと言われていたが、去年の冬の大会で腕に怪我してしまった。 そのまま大会に出場することはできず、その年の大会優勝は夢として消えた。 そして最悪なことに、怪我のせいで妙なクセが付いてしまった。 自覚はないのだが、先輩いわく致命的で、小手を打たれると無理に避けようとしてしまうらしい。 俺としてはそう思わないのだが、先輩としては怪我が完治していないからそうなっている、みたいだ。 あれからもう半年は経った。
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