赤い刀と怨嗟の声

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さすがに完治してる思うし何も問題ないのだが、そのせいで集中して部活に専念することができない。
自分の好きなことに全力で取り組めないなんて悔しい。
しかし、そこで諦める俺ではない。

1年の大会優勝は夢で終わってしまったが、まだ2年、3年とチャンスは残っている。未来を見越して毎日、寝る前に筋トレという名の走り込みを続けている。
今となってはもう、俺のもう1つの趣味と言っても過言ではないぐらいだ。そのぐらい続いている。
他にも色々やったけど、自分でもこんなにも長く続いたのは初めてかもしれない。
しかし、俺の趣味は筋トレではない。本当の趣味は買い食いなのだ。
買い食いに関しては、学校へ行く途中にある商店街が俺をこの趣味に目覚めさせた。
文字通り天国とも言える場所だ。
コロッケだけを販売する老舗から、最近グルメ雑誌に取り上げられて連日行列ができる、かき氷をメインに扱うオシャレなカフェ。
昔から住んでいる俺にとって、この商店街で食べていない食べ物はないのだ。
ふと横を見ると大きなポスターが目に入った。
新メニューであるナタデココ入りのフルーツゼリーを扱ったデザインだ。

「この夏はこいつで決まりよ！」

と意気込む店長の顔がチラつく。
まだ春先だってのにもう夏の商品のことを考えてるいるなんて、大人は大変だな。
よし、ここまで来れば学校までもう少しだ。いつもよりカロリーを消費しただろう。
今日の帰りも何か食べて帰ろうかな。俺はペースを落とし、乱れた呼吸を整えた。