後の章

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後の章

俺が本当に何も知らないことを確認すると、青山先生は来た時のように走って行ってしまった。 綾香が行方不明? 先生の言葉が俺の中で何度も響く。 「早かったなー直哉ー! もうお説教はすんだのか?」 恭平がいつものように茶化してくる。 「あぁ……」 「んん?」 だけど今の俺にはいつも返しはできずが、生返事をするだけで精一杯だった。 正直、動揺していた。 「泉が行方不明なんだ。親しいお前なら何か知っているんじゃないか?」 俺は昨日の綾香の行動を思い出すことにした。 いつも通り一緒に商店街を通り、写真やオカルト、部活の話などをして登校した。行方不明事件もとい神隠しの話をしたぐらいで、何もおかしいことはない。 お昼休憩では恭平とくだらない話をしながら、調査に参加することを決めた。確か綾香は森野さんと一緒にお昼休憩をすると言っていたよな。その時に、俺たちと同じように誘ったんだと思う。 部活を少し早めに切り上げて、指定された場所へ行くと小林先輩と遭遇した。今思うとあの時、先輩は少し遅れて来たな。その時に綾香の調査に誘われたのかな? 今日、会ったら聞いてみよう。 少し待ったら、彩香、恭平、森野さんと柊さんの4人が来た。いつの間にか柊さんが調査メンバーに入っていたけど、いつ誘われたのだろうか? これも確認しないといけないな。 その後、俺は彩香と一緒に杜雅櫛神社とその周辺を調べた。 「そうだ、思い出したぞ!」 あの時、彩香は写真を撮っていたじゃないか。あの時だけじゃない。学校から杜雅櫛神社へ行く道に河川敷。きっと俺が知らない情報が写っているに違いない。そうと決まれば、早速彩香の家へ行ってカメラを確認しないと。 「どうした、直哉? 何を思い出したんだ?」 「え?」
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