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相乗りしようとするB子にひとりで大丈夫だからと、アサコさんはみんなを残しマンションに帰った。
シャワーを浴びながらアサコさんはエレベーターの男の子の事を思い出していた。
それにしても、もう少しで…。男の子の顔、迫ってくる唇。あんな若い子がおばさんなんかに…。顔が熱くなってくるのが自分でもわかっていた。
勢いよく流れるシャワーの温度を下げ、冷水で火照る顔を冷やそうとした時、チクッという痛みが脇腹に走った。何?触って見ると、縦に走った傷跡があった。
こんな傷跡、覚えが無い。5センチ程の大きな傷。少し血が出ていた。
こんな大きな傷なら、ナイフとか?いや、でもそれじゃ無事で済むわけがない。盲腸もしたことが無い。なんなんだろう?…ひょっとしてあの時?エレベーターで。あの時刺されていたんだ。そうとしか思えない。あの男の子が。店員だとばかり思っていたけど、よく考えてみたら、奥の席にいたんだからあそこから来れる筈がないし、向かいの部屋には客はいなかった。でも倒れそうになった私を助けてくれたし。それにエレベーターの中だって。
男の子が迫って来た時、もう死んでもいいやと思っていたけど、B子たちの言うことが本当なら私にが見た男の子は最初からいなかった事に…。
…でも可愛い男の子だったな。
アサコさん曰く、超絶なイケメンだったという。よく似てたのよ、そう、福士蒼汰クンみたいな。
思い出して、おもわずにやけてしまうと脇腹の傷が痛むという。
でも惜しかったな。ふふっ。
チクッ
痛!イタタ。
ふふふっ。
チクッ チクッ
チクリ
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