温もり

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それからはほとんど動く事は無くなった 一定のリズムも何となく分かるようになった 今日もいつもの時間にそれは訪れる 自分に丸いものを載せて、パチッ!という音のあと 「「「いただきます」」」という音が聞こえる そんないつものリズムに身を任せながら過ごす 「このテーブルを買ってからもう5年か……」 「もうそんなに経ったのね、家を買った時に一緒に買ったものだったわね」 カチャカチャと音がする 「ママー、リモコン取ってー」 「はいはい」 「お、丁度このテーブル買った所の取材やってるじゃん。ちょっと見せて」 そうして新たな音が聞こえる 「うちのところの製品はね、職人が命を吹き込むように作っています。大切に扱ってもらえればとても長く持ちます」 「大切に……か、そうだな物にも命は宿ると言うしこれからもよろしくな、鈴音も物は大切にしなさい」そう言って自分を触る その音の意味は分からない そう、全くわからないのだ でも……その音が自分に向けられたものであることは、ハッキリと分かった 自分が昔動けなかった時にひたすら求めていた 自分に対しての返答。 求めても求めても手に入らなかったもの それを今……初めて、得たのだ 自分だけがこの場所に居ない訳では無いのだと 知る事になった ただ、それだけで暖かく感じるのだった
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