4142人が本棚に入れています
本棚に追加
/421ページ
大学に行けば派手な女がたくさんいた。
濃いメイクをして、露出の多い服を着て、趣味の悪いネイルを見せびらかして。
絶対真面目に勉強する気ないだろと思う身形で、上目遣いをしながら男に媚びを売る。
こういった女が一番嫌いだけど、誘われれば躊躇いなく乗った。
恋愛をする気になったわけではない。
ただ、本能的に備わった欲望を満たしたかっただけ。
今まで知ろうとしなかったことを知ることで、孤独感を忘れたかっただけ。
愛がなくても成り立つ行為は滑稽なもので、全然何も満たされなかった。
俺に人として欠如している部分があるとすれば、他人に一切愛情が持てないところだろう。
俺の目に映る女の顔は全員一緒。
外見が綺麗だろうが汚かろうがどうでもよくて、安っぽい愛の言葉を捧げられても心に響いてこない。
どれだけ誘いを受けても下品な喘ぎ声には吐き気がするし、ベタベタされるのは不快でしかなかった。
つまらないことを繰り返している内に気付いたのは、同じ女でも沙耶に対してはそんな風に感じたことがない、ということ。
考えても仕方ないのに思い出してしまう純粋な笑顔が、馬鹿な俺を責めている気がした。
最初のコメントを投稿しよう!