愛、縋る

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休日だったその日はセールの時期だったこともあり、高校時代一番親しくしていた友人の真依(まい)とショッピングに繰り出していた。 真依は流行りのアイテムをしっかり押さえているのに対し、私が選ぶのは悠真が好む清楚で可愛らしいアイテムばかり。 悠真と付き合い始めて半年。 私はとにかく必死だった。悠真に飽きられないように、少しでも好みの女になれるようにいつだって背伸びをして。 “音羽が一番好きだよ” 甘い声でいつも悠真が言ってくれるのが嬉しくて。 悠真が私だけを見ていてくれるのならば、本当の自分は押し殺しても構わないとさえ思っていた。 その日、日が暮れるまでショッピングを楽しんだ私達は両手いっぱいにショップ袋を提げるほど買い物をした。歩き疲れて休憩がてら立ち寄ったのは駅前のファーストフード店。 そこでポテトとジュースを頼み、時間的に混雑していた店内の中で唯一空いていた二階の窓際の席を確保した。 そこに腰掛け、駅前を行き交う人々を眺めながら尽きることのないガールズトークを楽しんだりして。
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